どうも、ローカル線の旅が好きな筆者なか()です! @naka_travel
当ブログ「東北旅びより」では、阿武隈急行線 槻木駅~丸森駅~福島駅の乗車レポートをお届けしていきます。
阿武隈急行は、槻木駅~福島駅を結ぶ第三セクター鉄道路線。
旧国鉄の丸森線を引き継いで誕生した路線です。
阿武隈急行の見どころはなんといっても、どこか懐かしい気持ちにさせてくれるような風景の数々。
のどかな田園風景が続く車窓や、阿武隈急行の名前の由来となった阿武隈川…
フリー切符も各種販売してますし、沿線には魅力的なスポットが盛りだくさん。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
阿武隈急行とは?
阿武隈急行は、宮城県の角田市・丸森町および福島県の伊達市を経由し、槻木駅~福島駅間の54.9kmを結ぶ第三セクター鉄道路線。
ちなみに阿武隈の読み方は「あぶくま」です。
一部列車は東北本線に乗り入れ、仙台駅まで直通しています。
阿武隈急行の前身は、旧国鉄時代に開業した丸森線。
東北本線のバイパス線として、1968年に槻木駅~丸森駅間が開通したのが始まりでした。
- 1922年 鉄道敷設法で「福島県福島より宮城県丸森を経て福島県中村(現在の相馬市周辺)に至る鉄道及び丸森より分岐して白石に至る鉄道」が規定される
- 1953年 沿線地域の誘致活動により、予定線として「宮城県槻木付近より丸森に至る鉄道」が追加される
- 1968年 国鉄丸森線(槻木駅~丸森駅)が開業
- ※1971年までに福島駅~丸森駅が開通する予定だったが、国鉄の運営状況悪化により実現せず
- 1981年 第1次特定地方交通線として承認され、廃止の危機に
- 1986年 国鉄丸森線廃止後、同区間が阿武隈急行として転換開業
- 1988年 丸森駅~福島駅が開業、阿武隈急行が全線開通
成り立ちをざっと整理しただけでも、紆余曲折あった路線であることがうかがえます。
阿武隈急行の見どころはなんといっても、どこか懐かしい気持ちにさせてくれるような風景の数々。
のどかな田園風景が続く車窓や、阿武隈急行の名前の由来となった阿武隈川…魅力は盛りだくさんです。
2019年に発生した台風19号での甚大な被害を乗り越え、今日に至る阿武隈急行。
今回はそんなローカル線に乗車し、沿線を観光してきました。
【阿武隈急行 旅行記】のどかな車窓の景色が魅力のローカル線に乗って沿線を観光
仙台駅から東北本線で槻木駅へ
旅の始まりは仙台駅。
仙台駅まで乗り入れる阿武隈急行線もありますが、1日に2往復のみ。
ほぼすべての列車が槻木駅始発です。
なので東北本線に乗車し、まずは槻木駅まで向かいましょう。
仙台駅から約30分で槻木駅に到着。
槻木駅は、宮城県柴田郡柴田町の主要駅のひとつ。
そのためか乗客の乗り降りも比較的多いです。
槻木駅より乗車するのは、梁川行きの阿武隈急行線。
2019年にデビューした新型車両「AB900系」が運用についていました。
阿武隈急行線の前身は、槻木駅~丸森駅を結んだ国鉄丸森線。
そのときの名残でしょうか、駅はJRと共同使用しているようですね。
東北本線は1・3番線、阿武隈急行線は2番線からの発着となっています。
槻木駅で乗り放題パス「あぶQフライデー切符」を購入
- 2021年7月~11月の毎月最終金曜日に販売される切符
- 阿武隈急行線(槻木駅~福島駅)が1日乗り放題に
- 1枚700円で、500円相当の沿線自治体のお土産も付いてくる
- 各日120枚限定、午前10時より販売開始
- 販売場所:福島駅、保原駅、梁川駅、丸森駅、角田駅、槻木駅阿武隈急行線ホーム
この日はなんと偶然にも最終金曜日。とてもラッキー。
せっかくですし、フリー切符を使って沿線をゆっくり観光していこうと思います。
ということで早速買いました、あぶQフライデー切符。
列車内にいらっしゃった車掌さんから切符を購入しました。
あぶQフライデー切符には、沿線自治体からのお土産も付いてきます。
500円相当のお土産がセットで700円だなんて。コスパ最強です。
ちなみに7月は福島市からのお土産ということで、市内に本社を置く「カフェベーカリーら・さんたランド」のパンをいただきました。
気になる中身は、古関金子さんの黄金メロンパン(2個入り)。
福島市にゆかりのある作曲家、古関裕而さん。
その妻である古関金子さんは、メロンパンが好物だったんだとか。
古関裕而さんといえば、NHKの朝ドラ「エール」の登場人物のモデルとなったことでも有名ですよね。
主題歌も郡山市で結成したGReeeeNが担当してましたし、個人的に胸が熱くなるものがありました。
新型車両AB900系の車内
AB900系は、2019年7月にデビューした新型車両。
全線電化開業時から使用している8100系の置き換えを目的に製造されました。
槻木駅からはこちらの車両に乗車します。
どことなく仙台で活躍するE721系にそっくり。
AB900系は、このE721系をベースに製造されたんだとか。
行先表示はLEDを使ったもので「ワンマン 梁川」と表示されています。
列車は2両編成。
車両側面には阿武隈急行を表す「A」の文字が描かれています。
光り輝くステンレスボディがかっこいいですね…
4人掛けボックスシートと基本とした車内。
福島側と槻木側でベースカラーが異なり、福島方面は花の王国を表す暖色系のカラーリングです。
トイレは先頭車両の方にあります。
福島方面に対し、槻木方面の車両は杜の都を表すグリーン系のカラーリング。
3つの両開きドア、4人掛けボックス座席に、ドア付近の2人掛け座席。
カラーリングは違えど、車内はJR東日本のE721系そのものです。
【槻木駅~丸森駅の車窓】のどかな田園風景を進む
槻木駅を出発した阿武隈急行線。
白石川を渡ると東北本線と分岐し、のどかな田園風景を進みます。
やはり新型車両なだけあって揺れが少ないですし、走行音も静かですね。
阿武隈急行線の最初の途中停車駅、東船岡駅に到着。
出発してまだ1駅目だというのに、周りは田んぼだらけです。
単線区間がほとんどではあるものの、これでも非電化路線でなく全線電化路線。
地方の第三セクター鉄道としては珍しい方ではないでしょうか。
東船岡駅の次の停車駅、岡駅に到着。
単式ホーム1面1線の無人駅ですが、かつては列車交換が可能な駅にする構想があったんだそう。
そのためか、駅前後の線路が不自然にカーブしています(写真だと分かりづらいのが申し訳ない)。
計画では、写真左側の草が茂っている位置に線路を敷こうとしていたようです。
交換駅となってた場合、おそらくこんな感じになってたんでしょう。イメージですが。
国鉄丸森線は、元々は東北本線のバイパス線として計画された路線。
そのため将来の複線化や、列車の長編成化を見込んで整備される予定でした。
計画は白紙になったものの、当時の名残が所々で感じられるのがまたいいですね。
列車は角田駅に到着しました。
角田駅を有する角田市は、阿武隈急行沿線の主要都市のひとつ。
周辺には高校などもあることから、1日の平均乗車人員は1,000人以上とそれなりに多く、仙台からの利用者も多いです。
駅舎もそれなりに大きく、待合スペースの他、観光物産センターが駅内にあります。
角田駅にはレンタサイクルもあります。
夏は西根の田んぼアートが見頃を迎えますし、周辺の観光がてら利用するのもおすすめですね。
丸森駅で途中下車して観光・ランチ
角田駅から約10分、列車は丸森駅に到着。
終点の梁川駅まで行きたいところですが、せっかくフリー切符を持ってることですし途中下車してみようかと。
丸森町の観光名所「齋理屋敷」をモチーフにしているのでしょうか。
駅名標が蔵のようなデザインになっているのがかわいらしいです。
旧国鉄時代の面影が残る丸森駅。
横長のレトロな駅舎が特徴的ですね。
駅前には、国鉄丸森線開通と明治百年を記念した石碑がありました。
かつては国鉄丸森線の終着駅だった丸森駅。
国鉄の運営状況が悪化し、丸森駅~福島駅は完成間近で凍結となった過去もあります。
確かに赤字路線だったとはいえ、当時の沿線住民にとって、こうして鉄道が開通することは悲願だったのではないでしょうか。
丸森駅併設の「まるもり移住・定住サポートセンター じゅーぴた」では、無料で自転車の貸し出しを実施しています。
駅から中心市街地までは1kmほど離れてますし、観光にはレンタサイクルの利用がおすすめですよ。
というわけで早速借りてきました、レンタサイクル。
次の列車まで1時間半ほど余裕がありますし、せっかくなので中心市街地まで行ってみようと思います。
夏の宮城を歩く。 pic.twitter.com/YGQoUzwkXW
— なか@東北旅びより (@naka_travel) July 31, 2021
どこか懐かしい気持ちにさせてくれるような日本の原風景や、阿武隈急行の由来となった阿武隈川。
街歩きをしているだけでも楽しいです。
ちょうどお昼時ということで立ち寄ったのが、こちらのカフェペルシッカ。
丸森町の中心街に位置するカフェです。
北欧風のかわいらしいログハウスがなんとも特徴的。
クロワッサンサンドのドリンク・サラダ付きセットを注文。
なんてキレイな色合いなんでしょう。
ジューシーなスモークサーモンに、濃厚なクリームチーズ。
加えて甘さ控えめのサックサクなクロワッサン。
これが合わないはずがない。
サラダもみずみずしく、歯ごたえがあって最高です。
ドリンクはアイスコーヒーをチョイス。
ミルクの入ったボトルがこれまたおしゃれですね。
店内との統一感があって、より一層雰囲気を楽しめます。
コーヒーにはしっかりとしたコクがあり、とても飲みやすいです。
特にスイーツによく合いそうなテイスト。これは美味しい。
旧型車両8100系の車内
丸森駅に戻ってきた筆者。
丸森駅からは梁川行きの阿武隈急行線に乗車します。
これより乗車するのは、阿武隈急行8100系電車。
阿武隈急行が全線電化開業したときから運行しているので、もう30年以上活躍していることになるんですね。
おそらく引退はそう遠くないでしょうし、なるべく利用したいところです。
行先表示はLEDを使ったもの。
以前はアナログ式の方向幕でしたが、取り換えられたみたいですね。
さすが約30年前の車両。
どことなく国鉄っぽさを感じさせる、レトロでノスタルジックな車内です。
車両の連結部分にドアはなく、そのまま車両間を行き来できるようになっています。
ここだけ見ると、まるで仙台市営地下鉄みたい。
ボックス座席には、何やらビス止めされている箇所がありました。
昔は列車内で普通にタバコを吸えたんですもんね。
こういった所でも時代の変化を感じ取れるのが面白いです。
出発直前の8100系の車内。
あぶQフライデーということもあって、旅行者らしき人がちらほらいた印象です…が。
現実は相当厳しいです。普段はもっとガラガラですし。
筆者のようなレトロ好きの人間にはたまらない路線ですが、これも一般の利用者にとっては単なる古い電車でしかありません。
しかし将来的には新型のAB900系が増備される予定ですし、また各方面からの支援も盛んな路線でもあります。
どうか末永く、沿線住民の足として頑張ってもらいたいという気持ちでいっぱいです。
【丸森駅~梁川駅の車窓】台風の被害を乗り越え復旧した丸森駅~富野駅の現在
丸森駅を出発した列車は徐々に山間部へ。
車窓からは程なくして阿武隈川が見えます。
阿武隈川は、宮城県・福島県を流れる239kmの一級河川。
東北地方では北上川に次ぐ長さの川なのだそう。
丸森駅~富野駅間は山道を進むので、特に車窓が面白い区間でもあります。
阿武隈急行きっての秘境駅、あぶくま駅に到着。
槻木駅〜福島駅を結ぶ阿武隈急行。
2019年に発生した台風19号による被害は凄まじかったものの、今ではすっかり通常運行に戻ってるようでした!
特に丸森駅〜富野駅の山間部区間は車窓の見応えアリです🚞 pic.twitter.com/btJpIBrm8x
— なか@東北旅びより (@naka_travel) August 16, 2021
あぶくま駅~富野駅間は、2019年の台風19号による被害が特に大きかった区間。
阿武隈川が氾濫し、駅ホームや線路に土砂が流れ込んでしまいました。
復旧工事は難航したものの、およそ1年後の2020年10月31日に全線運転再開を果たします。
復旧後しばらくは減便・減速での運行でしたが、2021年3月のダイヤ改正以降は通常通り運行しています。
山間部を抜け田園地帯に出ると、富野駅はもう間もなくです。
列車は富野駅に到着。
無人駅ですが、2面2線の列車交換可能な相対式ホームとなっています。
やながわ希望の森公園前駅に到着。
ひらがな書きで16文字の駅名は、日本で5番目の長さなんだそう。
ちなみに日本一長い駅名は、富山地方鉄道の「トヨタモビリティ富山Gスクエア五福前(五福末広町)」です。
程なくして、列車は終点の梁川駅に到着しました。
梁川駅から福島行きの列車に乗り換えようと思います。
【梁川駅~福島駅の車窓】伊達市・福島市の市街地を進む
梁川駅の駅舎はこんな感じ。
有人駅であり、周辺には阿武隈急行の本社・車両基地があることから、沿線の中核駅であることがうかがえます。
駅舎内の様子。
有人駅なので窓口もちゃんとあります。
駅内は1面2線の島式ホームとなっており、駅舎からは踏切を渡ってホームまで向かう形です。
梁川駅を出発した阿武隈急行線。
しばらくは伊達市の市街地を進みます。
保原駅で梁川行きの列車と行き違いに。
保原駅は沿線の主要駅のひとつであることから、乗客の乗り降りが比較的多いです。
実際に乗車してみた感じですが
- 槻木駅~角田駅
- 保原駅~福島駅
以上の区間はそれなりに利用者がいるみたいですね。
向瀬上駅、瀬上駅付近では、車窓からリンゴ畑を確認できます。
福島の名産のひとつでもあるリンゴ。
それもあって、瀬上駅には「りんごの里」というキャッチフレーズがついてます。
卸町駅を出発し、矢野目信号場を通過すると、東北本線と合流します。
やがて右側に東北新幹線の高架橋も見えてくると、終点の福島駅はもう間もなくです。
終点の福島駅に到着
列車は福島駅に到着。
ノスタルジックな雰囲気が溢れる改札口。
ホームは福島交通飯坂線と共同使用しています。
他社同士で同じホームを使うというのも珍しいですね。
また一方は直流電車、もう一方は交流電車という点も、マニア的には面白いポイントではないでしょうか。
約3時間の充実した旅となりました。
沿線には魅力的なスポットが数多くありますし、鉄道旅行がてら乗車するのもおすすめです。
【阿武隈急行 旅行記】のどかな車窓の景色が魅力のローカル線に乗って沿線を観光|まとめ
以上、今回は「【阿武隈急行 旅行記】のどかな車窓の景色が魅力のローカル線に乗って沿線を観光」という内容でお届けしました。
どこか懐かしい気持ちにさせてくれるような風景が魅力の阿武隈急行。
フリー切符も各種販売してますし、沿線には魅力的なスポットが盛りだくさん。
青春18きっぷ旅行のついでに利用するのもおすすめですよ。